大彗星あらわる
鎌倉に戻りふたたび布教を開始した日蓮さん。
東の空に大彗星があらわれて、人々は凶兆であるとして騒ぎ、恐れる事件がありました。
諸天善神は法華経の行者である日蓮をあわれんで大彗星をとばしたまい、天変を起こしたのでありましょうか。
日蓮さんはそう思わずにはいられませんでした。
世の中のあやまちを正す日蓮に対して、無知なる国主や民衆は敵意をもって害そうとするだけであったからです。
日蓮さんはこれから命をかけた戦いがはじまることを悟りました。
亡き父の菩提を弔い、年老いて死が近い母にあうために一度故郷に帰ることにしたのです。
故郷にある間、蓮華寺を宿として、さらに熱意を込めて教えをときましたので、法華経に帰依する人々が日増しに増えていきました。
この地域の地頭であった東条景信は念仏宗のもので、以前から日蓮さんを亡きものにしようと襲撃の機会を伺っていましたが、小松原というところで待ち伏せ、日蓮一行を襲撃する大事件が起きます。
小松原ご法難です。