立正安国論(3)

天台大師が一切経を研究して、それらを整理した立場である教相判釈(きょうそうはんじゃく)を議論のベースとして、伝教大師以来の天台宗の教えに則り、法華経を最上位とすることを同意した日蓮さん。

彼の議論の方法は、非常に論理的で客観的です。
また、それらの議論を踏まえて、自らの主張を組み立てるのですから、説得力があります。

ここで注目したいのは、日蓮さんが唯一無二の正しい主張をしたかどうかという追求ではなく、議論のやり方が、学僧として優れているという点です。

「汝、早く信仰の寸心を改めて、速やかに実乗の一善に帰せよ。
しかれば即ち、三界は皆仏国土なり。」

しかしながら、提出された立正安国論に対して、幕府はなにも反応することをしませんでした。